アメリカで物件を購入 - からの不動産投資、そして失敗 #007

今回はアメリカで小さな物件を購入した時のお話です。
自分がなぜ貧乏なのか、キヨサキが教えてくれた
「貧乏に疲れた」。ニューヨークに住んでいた頃(アメリカ生活7年目)の私の口癖でした。
高い家賃、安い給料。働いても働いても、生活は楽になりませんでした。夜間大学にも通っていたので、生活はカツカツ。時々クレジットカードで借入れまでして。
その時に出合ったのがロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』でした。日本でベストセラーになったと聞いていたので、図書館で英語版を借り一気に読んでしまいました。
読了後、呆然としました。
自分がなぜ貧乏なのか、わかったからです。
この本の中に、キャッシュフローゲームという人生ゲームのようなゲームを体験して、ファイナンシャルリテラシーを高めるエピソードが紹介されていました。
イベントに参加することでゲームも体験できますが、ゲーム自体を購入することもできます。ところがこのイベントもゲームがなかなか高額。オンライン掲示板でゲームを持っている人とプレイヤーを募い(いたんだ、これが)、ゲームを体験することにしました。
たった一度のゲームで私は、自分の「お金との向き合い方」を見つめ直すきっかけとなりました。そして、誓ったのです。
もう家賃を払うのはやめよう。
その家賃で物件を買うのだ!
そうだ、家を買おう
当時(2002年)、私はニューヨーク・クイーンズ地区で小さな1LDKのアパートに住んでいました。家賃は880ドル。賃貸契約を結んだ時は、「安い」と思えましたが、手取りの半分近くを占めていたと思います。
ニュージャージーの会社に勤めていたので、通勤費もバカになりませんでした(アメリカの会社は交通費を支給しないところが多い)。9.11以降、それ以前の2倍の時間もかかりました。
物件を購入すると言っても、ニューヨークではなく、会社の近くであることが理想ではと、ニュージャージーでの物件探しを決めました。
その時の上司が住んでいた街が治安も良く、またニューヨークへの交通の便も悪くはありません。もしニューヨークで再就職することになっても、十分な通勤範囲であることから、その街で物件探しを始めました。
物件選びは3つの大切な条件があると言います。
1にロケーション、2にロケーション、3にロケーション。
すでにインターネットで物件を探し、めぼしい物件をマークしていました。いくつかの物件を内見をする予定でしたが、何か強く感じるものがあり、一件目の内見で即決したのです。
その物件は、エレベーター付きの5階建アパートメントの最上階のワンルームで、東側と北側にそれぞれ窓がついていました。障害物はなく眼下に住宅街と緑が広がり、遠くに山が見えます。最上階にランドリールームがあるのも便利です。
また建物の周りに広い芝生の庭があり、たくさんの木々がきれいに植えられていました。ゴミ一つ落ちていないコミュニティの環境も気に入りました。ショッピングセンターにも近く、時間はかかりますが歩いてマンハッタンにも行けます。
部屋は10畳ほど、小さなキッチンとバスルーム、手頃なサイズのクロゼットが2つ備え付けられていました。内装はきれいとはいえませんが、手を入れれば快適に住めそうです。
アメリカの物件には、リスティングされた「販売価格」がありますが、買い手は不動産業者を通し「購入金額」を売主にオファーします。売主が手数料を払い、それを売り手と買い手の業者で折半、買う人は手数料を払いません。
リスティング価格3万2000ドルに2万9000ドルでオファーしました。売主から3万ドルのカウンターオファーがあり、その価格で決まりました。
月の住宅ローン9600円
20年前は3万ドル(日本円で約360万円)でしたが、現在は、マンハッタンの不動産価格の口頭の影響で、3〜4倍になっていると思います。とはいえ、当時の私には頭金もなく、クレジットカードに借入のある-人生を送っていました。
私のアパートはローンを組む際、20%の頭金を用意する必要があります。頭金はクレジットカードのキャッシングで用意しました(これはお勧めしません)。
そして2万2000ドルの住宅ローンを組むことになったのです。月々80ドルの30年返済。ここに、アパートの管理会社に払う管理費が270ドル。水道・温水・暖房・ゴミの収集が含まれています。それでも今まで800ドルの家賃を払っていましたから、この違いは大きいです。しかも250ドルもかけて通勤していたのが、数十ドルのバス代となり、3時間の通勤時間も30分になったわけです。
これこそが、私がキヨサキから学んだキャッシュフローなのだ!と思いました。私は身を持って「金持ち父さん貧乏父さん」を実践したのです。
ニューヨークから離れることに抵抗はありましたが、この数字の前に私のプライドは脆い物でした。なにしろ私は「貧乏に疲れていたのです」。
ローンを払うことで、クレジットヒストリーを築くことができます。良いクレジットスコアだと新たに住宅ローンを組む時や車を購入する時、引越し、職探しなどにも有利になります。
ある程度のクレジットヒストリーを築いたことを確認し、5年ほどで住宅ローンを完済しました。また、その間、DIYや内装業者を雇い、住まいを住みやすく修繕していきました。ホームセンターに行き、タイル貼りの講習を受けたこともあります。
一生働かないと、老後は厳しいね…
生活費の大半を占めていた家賃を劇的に縮小できたことで、私の生活は変わっていきます。
アパートを購入した頃、キヨサキに加え、アメリカでは知らない人がいないスージー・オーマンというファイナンシャルアドバイザーに心酔していました。彼女の本を読み、番組を見て、将来設計することを始めたのです。
借金を返し、貯金し、投資し、働き方の意識も変えました。転職の際の給与交渉、昇給の交渉の仕方も彼女から学びました。節約も彼女から学びました。
アメリカには「チープステイクス」というテレビ番組があり、一般人とかけ離れた節約をして生活する人を紹介するリアリティ番組がありました。いくつかの節約術はここから参考にしました。トイレで使った後のパーパータオル、私はこれを乾かして再利用するなど、徹底しました。人知れず節約していたので、私が超ケチだとは親しい友人を除いて誰も気がついていなかったはずです。
知人の紹介で、ファイナンシャルプランナーに自分の資産状況を診断してもらうことになりました。これもスージーのアドバイスで実行しました。46歳ぐらいだったと思いますが、この頃はまだ「一生働き続けないと老後は厳しいね」と言われショックを受けました。なので、よりよい待遇を求めて、たえず転職の機会をねらっていました。そして貯金貯金貯金。
リーマンショックで下りに下がっていた株を買い、それが大きく育っていきました。
株を売り不動産を買う。しかしそのこに落とし穴が…
最後に勤めた会社は、元同僚の紹介だったのですが、私にはもったいないほどの好条件で採用されました。スージーのアドバイスに沿って給与交渉しました。
ここまでの私はスージースージースージーです。数年視聴した彼女の番組が終了したと同時に、次第に私は自分のシロウト判断で行動するようになってしまいました。
最初のアパート購入で変な自信をつけてしまったのか、育った株を売って、現金一括で、投資用の物件に手を出してしまったのです。しかも2部屋。これで私の老後は単体だと思いました。
しかし、私が投資用に購入したアパートは、とんでもないダメアパートでした。予想もしなかった部屋のダメージ、そこからの、近隣トラブル、騒音… 私が住むこともできないのに人に貸すことなどできません。
結局、修繕したにもかかわらず、売りに出すことにしました。ここからさらに状況は悪くなっていきます。買い手が見つからないのです。売値を下げました。赤字です。買い主は見つかったものの、契約の途中で夜逃げされまた振り出しに戻ったり、手続きが進まずイライラしたり、もともと睡眠障害で苦しいのに、ますます眠れなくなりました。
大打撃は、IRS(内国歳入庁、いわゆる税務署)から、株を売買したことの申告漏れ(まじで忘れていた)を指摘され、追徴金と罰金を請求されました。
キヨサキ、スージー、私はどうしたらいいの。
あなたを失って、私は自分も失いそうです。
この悩みは友人にも言えませんでした。誰に相談できるというのでしょう。2つアパートは売れないし、IRSから脱税の罰金をとられた、どうしたらいい と? 言えるわけがない。
いいレッスンになったと言うには、あまりにも大きなダメージでした。
どんなに良い話でも、不動産と株には手を出さない。
私はそう決めました。シロウトの火遊びでした。
なんとか全てを精算できたのは、日本に来てからです。
長い戦いでした。
働かないで儲けることなど…
あれだけのダメージもさほど老後の資金にまで影響を及ぼさずに済んだのは、やはり前の会社で受けた厚い待遇と福利厚生があったと思います。ほとんどの弁護士費用は、会社の福利厚生から支払われました。
損はしたものの、アパートを売った金で、こうして東京に来ることができました。
最初のアパートだけは売りに出さず現在、日本人の男性に借りてもらっています。とても良い方で助かっています。家賃をいただいていますが、維持費や保険もばかにならず、儲けとはなりません。
何か問題が起これば、大家である私がアメリカの業者に手配し、テナントに負担がかからないようにしています。それでも彼に頼まなくてはいけないこともあり、申し訳なく思います。
お金をいただいて管理してもらっているようなものですから、家賃を上げるのもはばかられます。彼が結婚となれば、いずれあの小さなアパートも出ていくことでしょう。その時は私があのアパートに住むことになります。
不動産投資を不労所得などという呼ぶ人もいますが、働かないで得られる所得などこの世にはありません。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。