2022-08-30シニアをなめんなよ
日本には年齢差別が公然と行われている。定年制もそうだし求人広告の年齢制限も。アメリカでは完全アウトだ。
渡米する前からそうだったし、日本の慣例だからとあきらめてはいたが、いざ自分が定年を迎え、減額された再雇用後の給与額を提示されると、これは差別以外のなにものではないと実感する。
先日、日本語教員の求人広告を見ていたら、「複雑なオンラインシステムを使用するため、50歳以下の方の応募のみ」という文言を見た。ジジババにテクノロジーは使えないってか。
たしかに私の周りのシニアには、テクノロジーに疎い人は多い。スマホもデスクトップPCもネットワーク設定もまとめて「メカ」と呼ぶのも痛々しい。しかたがない。生まれた時すでにインターネットがあった世代と同じステージでは戦えない。
私の世代にだって、IT分野に強い人も少なくない。得意とは言えないが、私も苦手意識を持っていない分、強みと言える。むしろ、その複雑なオンラインシステムとやらを使いこなすだけの自信はある。だから「50歳以下」といかにも「当社調べ」的な線引きをするのはいただけない。
だったら、理由など書かず年齢制限を50歳までとすればいいし、はっきりとITリテラシーの高い人と書けばいい。20歳だってテクノロジーに詳しくない人だっている。
私が勤めていた会社も「若い人」を採用したがった。社長は見た目で採用するようなところがあり、自分で採用しながら入社後の使えなさにがっかりしていた。たしかに20歳はフレッシュな印象はある。しかしシニアにはシニアの魅力もある。
最近、日本語学校数社の面接を受けた。いずれの学校も、私の年齢や、日本語教師としての経験よりも、それ以前の経歴や英語力に興味を持ってくれた。ありがたい話ではないか。こういう企業と出会いたかったんだよ。
2年前、日本語教師になってすぐに採用された、とある日本語学校、全く肌が合わなかった。
模擬授業ありの面接からどこか違和感があり、2人の面接官は示し合わせたようにしかめっ面で、わざと答えにくい意地悪な質問をした。生まれて初めての教員面接試験だから、「こういうものかな」と思った。
他社の面接を受けると、その学校は特殊だということは分かった。生まれて初めての模擬授業はコテンパンに批評された。てっきり不合格かと思ったら、採用。「どうしてですか」と理由を聞いたら「人柄が良さそうだから」と。意味がわからない。
入社してからも上司の振る舞いや学校のポリシーには驚くことばかりで、特に生徒の人権を軽んじるような対応に疑問を持ってしまった。ブラック企業は日本語学校にもあるのだ。
コロナによる入国制限で留学生の数が激減し、入社してすぐ私は仕事を失った。運良くオンライン授業中心の外資系の日本語学校に正社員として働き始めたが、1年経ったところで定年を迎え、再雇用を断って現在に至っていることは前述の通りである。
外資系は働きやすい。日本人が経営していないからだ。日本人の経営者だと融通が利かなく、やたらとペーパーワークに縛られ、時間外勤務を強いられることも多い。
一方、同じ年に大学を卒業した友人は、楽しそうに日本語学校で働いている。おそらく彼女の明るい性格から、そう見えているのだろう。
着実に日本語教師として成長している彼女を見て、私も気持ちが変わってきた。もう一度、日本語学校に挑戦してみようと思い始めたのだ。
秋学期が始まる時期でもあり、応募を出している日本語学校は多い。
いくつか待遇の良さそうな学校を選び、履歴書を送った。友人が勤める日本語学校も入っている。もし前の日本語学校のようなブラックな高風を少しでも感じたら、こちらからお断りしようかと思っている。笑っちゃうほど上から目線の就職活動である。
60歳、ほぼ未経験、ということで、すでに何社から「お祈りメール」をいただいた。といいつつ、とある米国系日本語学校1社とは契約を結ぶことができた。できればもう1〜2社と契約を結び、週2〜3日働いてみたい。日本にいる間にしっかり成長して、アメリカで(または世界どこでも)日本語教師として働くことができたらいい。
パートタイムだから、旅行も無理なく続けることができるだろう。忙しくなれば生活も充実するだろうし、つまらない旅をすることもないう。
若者がうらやましいと思うような充実した生活を送ってみる。そして、シニアをなめた扱いした会社に後悔させてやろうぜ!